2025年12月31日
2025年12月31日
さかもと はるか
ペットライター、愛玩動物飼養管理士2級、JKC公認トリマーライセンスC級
コウモリのような大きな耳に、愛嬌たっぷりの表情を見せるフレンチ・ブルドッグ。街中で見かけると「一緒に暮らしてみたい」と夢見る方も多いでしょう。
一方で、「体が弱くて短命」「お金がかかって飼いにくい」といった噂を耳にして、一歩を踏み出せずにいませんか?
フレンチ・ブルドッグは愛情深く良いパートナーとなりますが、性格や身体的な特徴を考慮した環境を用意する必要があり、手間がかかるのも事実です。
この記事では、フレンチ・ブルドッグの基本情報から、「飼いにくさ」の理由、生涯にかかるリアルな費用まで解説します。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、お迎え前に知っておくべき知識を確認していきましょう。

フレンチ・ブルドッグは、愛嬌のある表情と筋肉質な体つきが魅力的な犬種です。
ここではフレンチ・ブルドッグの性格や外見、毛色、歴史について解説します。
フレンチ・ブルドッグは、飼い主さんと一緒に過ごす時間を好む愛情深い性格をしています。陽気で明るく、周囲を笑顔にする「ムードメーカー」のような存在といえます。
基本的には穏やかで、無駄吠えも少ない傾向にあります。そのため、マンションなどの集合住宅でも飼いやすいでしょう。
一方で、一度興奮すると落ち着くまでに時間がかかる一面も持ち合わせています。こうと決めたら譲らない頑固な部分もあるため、しつけには根気が必要です。
フレンチ・ブルドッグは、体高約24~35cm、体重約8~14kgの小型犬です。がっしりとした骨格と筋肉質な体が特徴的で、抱っこするとずっしりとした重みを感じます。
見た目で特徴的なのは、コウモリが羽を広げたような立派な立ち耳で、「バットイヤー」とも呼ばれています。鼻は低くつぶれており、口元にはシワがあります。
この愛らしい顔立ちが、多くの人を惹きつけるチャームポイントです。
フレンチ・ブルドッグは、アンダーコートとオーバーコートの二層構造であるダブルコートです。
被毛が短くなめらかな手触りをしており、抜け毛が比較的多めです。
毛色のバリエーションはいくつかあり、ジャパンケネルクラブ(JKC)で認められている主な毛色は以下の4種類です。
参考:ジャパンケネルクラブ(JKC)「フレンチ・ブルドッグ」
フレンチ・ブルドッグのルーツは、19世紀のイギリスに存在したブルドッグとされています。
当時は、オス牛と犬を戦わせる「ブル・ベイティング」という見世物で活躍していました。
その後、闘犬が禁止されるとフランスに渡り、パグやテリアなどと交配し、現在の姿へと小型化されたといわれています。
当初はネズミ捕りとして重宝されましたが、次第にその愛らしさが注目されるようになります。とくに上流階級の貴婦人や芸術家たちの間で人気を博し、愛玩犬としての地位を確立しました。
闘犬の血を引いていますが、交配の過程で温厚で甘えん坊な性格へと変化を遂げ、現在では、世界中の家庭で愛される犬種となっています。

フレンチ・ブルドッグは愛らしい反面、飼育の難しさや手間を感じる場合があります。
ここでは、フレンチ・ブルドッグがなぜ「飼いにくい」とされるのか、4つの理由を紹介します。
フレンチ・ブルドッグの平均寿命は、約11.2歳とされています。ペット保険会社の調査によると、犬全体の平均寿命が14.2歳なので、フレンチ・ブルドッグはやや短命といえるでしょう。
フレンチ・ブルドッグの寿命が短いのは、短頭種特有の呼吸器の弱さが影響していると考えられます。
気道が狭いため呼吸が苦しくなりがちで、体温調整も苦手です。また、呼吸器や心臓への負担が重なり、重篤化するケースも報告されています。
日々の健康管理に細心の注意が必要な点が、飼育の難易度を高める原因です。
参考:アニコム ホールディングス株式会社「家庭どうぶつ白書2025」
フレンチ・ブルドッグは、飼い主さんへの依存が強く、留守番が苦手な傾向があります。寂しがり屋な性格をしているため、ひとりぼっちの時間に耐えられず、強い孤独感を感じてしまいます。
不安やストレスが大きくなると、「分離不安」と呼ばれる状態になり、家具をかじったり、ずっと吠え続けたりといった問題行動を起こすケースも少なくありません。
共働きや外出が多い家庭では、ペットカメラで見守るなどの対策が必要です。また、ペットシッターを利用するなど、寂しさを紛らわせる工夫が求められます。
留守番中の愛犬のストレスを考えると、留守にしがちな家庭にとっては飼育が難しいと感じる場合もあります。
フレンチ・ブルドッグは、自立心が強く頑固な一面があるため、しつけに根気が必要です。自分が納得しない指示には、従わないケースも珍しくありません。
初心者が曖昧な態度で接していると、犬に主導権を握られて、指示を聞かなくなる可能性があります。根気強く一貫したトレーニングが求められるため、飼いにくいと感じる人もいるでしょう。
フレンチ・ブルドッグの皮膚はデリケートで、トラブルを抱えがちです。
とくに顔のシワの間は通気性が悪く、汚れや湿気がたまりやすくなっています。放置すると雑菌が繁殖し、炎症やかゆみを引き起こします。
そのため、日々のケアや食事管理を怠ると、すぐに皮膚の状態が悪化してしまうでしょう。
皮膚トラブルを防ぐためには、こまめなケアや食事管理、定期的な通院が必要になる場合が多くあります。
時間や費用に余裕がない人は、フレンチ・ブルドッグの皮膚のケアを負担に感じ、飼育の難しさを感じる場合があるでしょう。

フレンチ・ブルドッグと健やかに暮らすためには、飼い主さんが正しい知識を持ち、飼育する必要があります。
とくに体温調整や呼吸器系の働きがほかの犬種とは異なるため、日々の生活環境には配慮しなければなりません。
ここでは、フレンチ・ブルドッグの健康を守るために意識すべき4つの飼育ポイントを見ていきましょう。
フレンチ・ブルドッグは鼻が短く熱を体外に逃がすのが難しいことが多く、体温調節が苦手です。熱中症にかかるリスクが高いため、高温多湿な日本の夏には、徹底した暑さ対策が不可欠です。
具体的な暑さ対策は以下のとおりです。
愛犬の命を守るためにも、夏場の温度管理には細心の注意を払いましょう。
フレンチ・ブルドッグは呼吸器が狭いため、激しい運動は体に負担がかかります。そのため、息が荒くなるような長時間の運動や、全力疾走などは避けたほうが良いでしょう。
また、フレンチ・ブルドッグは遺伝的に骨の異常が多いとされており、関節への負担も考慮する必要があります。
フリスビーのようなジャンプを伴う遊びや、階段の上り下りは足腰を痛める原因になるため、注意が必要です。
散歩は1日2回、1回30分程度が理想です。愛犬のペースに合わせ、無理のない範囲で楽しむことが健康維持につながります。
フレンチ・ブルドッグは短毛種ですが、抜け毛が多い犬種です。放置すると皮膚の通気性が悪くなり、皮膚トラブルの原因になります。
ラバーブラシなどを使い、毎日ブラッシングをして余分な毛を取り除きましょう。
また、顔にある深いシワのケアも欠かせません。シワの間には食べかすや涙、皮脂などの汚れが溜まりやすく、細菌が繁殖して炎症やかゆみを引き起こす可能性があります。
1日1回はペット用のウェットシートや濡らしたタオルなどでシワの間を優しく拭くと、皮膚トラブルの予防につながります。
フレンチ・ブルドッグは骨格が太く筋肉質ですが、関節トラブルを抱えやすい犬種です。室内で滑ったり転んだりすると、膝や腰に負担がかかる可能性が高く、住環境を見直す必要があります。
関節トラブルを防ぐための具体的な対策は以下のとおりです。
| 対策内容 | 期待できる効果 |
|---|---|
| 滑り止めマットを敷く | 滑りにくくなり、転倒や股関節への負担を防ぐ |
| カーペットを敷く | クッション性が高まり、足腰への衝撃を和らげる |
| 段差にスロープを設置する | 上り下りの際のジャンプを防ぎ、腰への負担を軽減する |
ペット共生型マンションDear WAN Court(ディアワンコート)では、各部屋に愛犬の足腰に優しい床材を採用しています。
滑りにくく柔らかい床材なので、愛犬が転倒してもケガをしにくい仕様です。
また、共用部分の廊下にも滑りにくい床材が採用されているのもポイントです。関節トラブルが多いフレンチ・ブルドッグでも、ディアワンコートであれば快適に過ごしやすいでしょう。
ディアワンコートの物件について詳しく知りたい方は、以下のサイトをチェックしてみてください。

フレンチ・ブルドッグには、頑固な一面もあるため、しつけには工夫が必要です。性格を理解して、無理強いはせずに愛犬が楽しみながら学べる環境を整えてあげましょう。
ここでは、フレンチ・ブルドッグの性格に合わせたしつけのポイントを解説します。
フレンチ・ブルドッグのしつけでは、叱るよりも「ほめること」を意識しましょう。厳しく叱りつけるしつけは、恐怖心や反発心を抱きやすくなり、信頼関係が崩れる可能性があります。
一度「嫌だ」と感じて頑固になると、飼い主さんの指示を聞かなくなるケースも考えられます。
効果的なのは、大好きなおやつなどのご褒美を使って、モチベーションを上げることです。
「お座り」や「待て」ができたら、ほめておやつを与えるのを繰り返すと、「飼い主の指示を聞くと嬉しいことがある」と学習します。
ポジティブな経験を積み重ねれば、飼い主への信頼も深まり、喜んで指示に従うようになるでしょう。
フレンチ・ブルドッグは、長時間集中力を保つのが苦手です。ダラダラと長いトレーニングは飽きてしまい、逆効果になります。そのため、トレーニングは「短く」「楽しく」を心がけましょう。
最後を成功体験で終わらせると、「もっとやりたい」という意欲を残せます。毎日少しずつトレーニングを続けましょう。
好奇心が旺盛なフレンチ・ブルドッグは、噛み癖やいたずらに注意が必要です。とくに子犬の時期は、家具の脚やスリッパ、電源コードなどを噛んでしまうトラブルが多く見られます。
いたずらへの対処法で効果的なのは、物理的にいたずらができない環境をつくることです。飼い主さんが先回りして以下のような対策をすると、誤飲などの事故からも愛犬を守れます。
| 対象 | 対策方法 |
|---|---|
| 小物や貴重品 | 愛犬が届かない高い場所や、扉付きの棚に片付ける |
| 電気コード | 専用のカバーを巻きつける |
| 家具の脚 | 苦味のあるしつけ用スプレーを活用する |
噛みたい欲求からいたずらをしている場合は、噛んでも良い丈夫なおもちゃを与え、そちらに誘導することも大切です。
フレンチ・ブルドッグは寂しがり屋なため、長時間の留守番はストレスになります。不安やストレスからパニックになり、粗相や破壊行動をするケースも少なくありません。
留守番ができるようになるには、飼い主さんがいない時間を少しずつ延ばして慣れさせることが大切です。
留守番のトレーニングの手順は以下のとおりです。
焦らず時間をかけて練習すれば、安心して留守番ができるようになります。外出時は、コングなどの長く楽しめるおもちゃを与え、飼い主さんがいなくても退屈せずに過ごせる環境を整えましょう。

フレンチ・ブルドッグを家族に迎えるにあたり、まずは費用の目安を知っておくことが欠かせません。
ここでは、生体価格の相場や主な入手方法、購入前に必ず確認すべき注意点を解説します。
フレンチ・ブルドッグの生体価格の相場は、約30万~60万円です。
フレンチ・ブルドッグは、頭が大きく肩幅が広いため自然分娩が難しく、帝王切開での出産となるケースが多く、生体価格も高めに設定されています。
もちろん、個体の条件によって価格設定には幅があります。血統書付きで親犬がドッグショーで優秀な成績を収めている場合などは、さらに高値がつくことも珍しくありません。
また、クリームやパイドといった人気カラーや、希少な毛色は価格が上がる傾向にあります。
フレンチ・ブルドッグの入手方法は主に以下の3つにわけられます。
ペットショップは気軽に立ち寄れて、飼育用品もまとめて揃えられるのが魅力です。ブリーダーなら親犬や兄弟の様子なども確認でき、より専門的な話を聞けるでしょう。
また、数は多くありませんが、保護団体や保健所から保護犬を引き取るという選択肢もあります。
フレンチ・ブルドッグは、生まれつき呼吸器や関節に疾患を持っている場合があります。購入後にトラブルで悩まないためにも、契約前の健康チェックは欠かせません。
具体的なチェック項目を確認しておきましょう。
また、遺伝的な病気のリスクを把握するため、親犬の情報も聞いておくことも大切です。親犬の情報や性格的な特徴についても販売者に質問し、すべてに納得してから迎えてください。

フレンチ・ブルドッグと長く幸せに暮らすためには、特有の病気リスクを正しく理解し、備えておくことも不可欠です。
飼い主さんが正しい知識を持ち、日々の観察をしていれば、病気の早期発見につながります。
ここでは、とくに注意が必要な病気の種類と、予防法について解説します。
フレンチ・ブルドッグがかかりやすい代表的な疾患について見ていきましょう。
| 病名 | 特徴と症状 |
|---|---|
| 短頭種気道症候群 | 鼻の穴が狭いなどの構造的な問題により、呼吸がしづらくなる病気。「ガーガー」という呼吸音が特徴。 |
| 皮膚炎 | アレルギーやシワの間の汚れが原因で、皮膚にかゆみや炎症が起きる。顔のシワや脇の下、指の間などに多い。 |
| 椎間板ヘルニア | 背骨の間のクッションが飛び出し、神経を圧迫する病気。激しい痛みや麻痺が生じ、重症化すると歩けなくなる可能性もある。 |
これらの病気は、遺伝的な要素が関わっているケースも少なくありません。少しでも様子がおかしいと感じたら、迷わず獣医師に相談してください。
フレンチ・ブルドッグの病気を防ぐためには、肥満を防ぐための体重管理が欠かせません。
肥満は万病のもととなり、関節や呼吸器に多大な負担をかけます。適切な食事と運動量を維持し、体重を管理しましょう。
また、高温多湿を避けた室温管理と、滑りにくい床材への変更など、生活環境を整えて病気を予防する意識を持つことも大切です。

フレンチ・ブルドッグとの生活をスタートさせるには、ある程度の経済的な準備が求められます。最初にかかる初期費用はもちろん、その後の生活を支えるランニングコストも考慮しなければなりません。
ここでは、お迎え時の初期費用と、1年間にかかる費用の目安を具体的に紹介します。
フレンチ・ブルドッグを迎えるために必要な初期費用の目安は、生体価格を含めて約38万~80万円程度です。
具体的な内訳と金額の目安を見ていきましょう。
| 項目 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 生体価格 | 30万~60万円 | 毛色や血統により変動 |
| ワクチン・健康診断料 | 2万~5万円 | 接種回数や動物病院によって異なる |
| 畜犬登録料 | 約3,000円 | |
| 生活用品一式 | 5万~10万円 | ケージ、トイレ、食器、ベッドなど |
| 環境整備費用 | 1万~5万円 | 滑り止めマット、ゲートなど |
| 合計 | 38万~80万円 |
費用の大半を占めるのは子犬の生体価格ですが、生活環境を整えるための出費も必要です。
また、関節を守るための床の滑り止め対策や、室温管理のための家電なども準備しておくと安心です。
次にフレンチ・ブルドッグと1年間暮らすためにかかる費用の目安を紹介します。
| 項目 | 費用目安(年間) | 備考 |
|---|---|---|
| 食費 | 6万~12万円 | フード、おやつ代 |
| 消耗品 | 3万~6万円 | シーツ、シャンプーなど |
| 医療費 | 3万~5万円 | ワクチン、フィラリア予防など |
| 合計 | 12万~23万円 |
毎日の食事や消耗品に加え、健康を維持するための医療費が毎年発生します。
フレンチ・ブルドッグは、とくに皮膚がデリケートなため、質の良いフードやスキンケア用品には費用がかかることが予想されます。
また、暑さが苦手なため、夏場のエアコン代などの光熱費が上がると想定しておきましょう。