2025年08月29日
2025年08月29日
小林 まいこ
獣医師・動物ライター
「犬がうっかり玉ねぎを食べてしまったり、テーブルの上の食べ物を口にしてしまった」そんな経験はありませんか?
人間にとっては普通の食べ物でも、犬にとっては命に関わる危険なものがあります。
本記事では 犬が食べてはいけない食べ物や日用品 を詳しく解説します。
誤って口にしないようにするための対策も紹介しますので、愛犬の健康管理にぜひ役立ててください。
犬にとって危険な食べ物は多くあります。食べてしまうと 下痢・嘔吐・神経症状などの中毒症状を引き起こし、重症化することも。
加熱しても安全にならない場合もあるため、必ず注意してください。
ネギや玉ねぎ、ニラ、らっきょう、にんにくなどといった野菜は少量でも危険です。
ネギ類に含まれる成分には赤血球を破壊する作用があり、貧血や呼吸困難、血尿などの中毒症状を引き起こすリスクがあります。
最悪の場合、命の危険性もあります。
加熱しても毒性は消えないので、ハンバーグやスープなどのエキスが染み込んでいる料理にも注意しましょう。
ブドウやレーズンは、少量でも中毒症状をおこしてしまう可能性があります。
舐めただけでは症状があらわれない犬もいますが基本的に危険です。
急性腎不全を引き起こし、重症になってしまう可能性もあるので注意しましょう。
ブドウパンやレーズンパンなどの加工されたものも食べないように気を付けてください。
マカダミアナッツは、嘔吐や震え、元気消失などの中毒症状をおこす可能性が高いです。
マカダミアナッツが入っているチョコレートやお菓子、サラダ、豆乳飲料にも注意しましょう。
ナッツの中には、食べても中毒症状がおこらないナッツもあります。
胡桃やアーモンド、カシューナッツ、ピスタチオです。
食べても大丈夫ですが、脂肪分が多く肥満の原因にもなり、消化不良を起こすため、避けたほうが無難でしょう。
また、丸飲みして喉に詰まらせる可能性もあるので注意しましょう。
チョコレートやココアの主原料であるカカオに含まれる「テオプロミン」、そしてコーヒーなどにも含まれる「カフェイン」は危険な物質です。
カカオが多く含まれているダークチョコレートは特に危険です。
カカオやカフェインが使われているお菓子や飲み物にも注意し、犬が食べないよう片づけておきましょう。
イカやタコは、生で与えてしまうと神経症状や消化不良を引き起こしたり、アニサキスなどの寄生虫によって食中毒を起こす可能性があります。
エビやカニ、貝類も生で与えないようにしましょう。
加熱しても中毒の原因である「チアミナーゼ」の働きは完全になくなるわけではなく、消化もよくありません。
獣医さんに相談の上で与えるようにしましょう。
また、エビやカニは、甲殻アレルギーの原因になる可能性があります。
アレルギー反応が出たらすぐに動物病院へ行ってください。
鶏の骨は、折れてしまうと縦にさけるため、食べてしまうと食道や消化器官を傷つけてしまう恐れがあります。
詰まって窒息してしまう可能性もあるため危険です。
生肉や生の鶏の骨は、寄生虫による危険な症状があらわれる可能性があります。
特に豚肉や鶏肉は生で与えると危険なため、しっかり火を通してからにしましょう。
生食用に処理された新鮮な牛肉や馬肉は、生で与えることも可能ですが、必ず獣医さんに相談の上で与えてください。
ハムやベーコンなどの加工肉は、塩分や脂肪、添加物が多く入っています。
腎臓や心臓、肝臓に大きな負担がかかり、少しだけでも塩分過多です。
人間用に加工された食品は犬には与えないようにしましょう。
人間用の牛乳は、犬には分解できない成分「乳糖(ラクトース)」が入っています。
犬の体質によっては人間用の牛乳を飲んでしまうと、下痢や嘔吐があらわれることがあります。
犬にとっては消化が悪いため、牛乳ではなく犬用のミルクやヤギミルクを与えてください。
人間用に作られたチーズやヨーグルトも、犬の体の負担になってしまいます。
ペットショップなどで販売している犬用のチーズを選んで与えましょう。
お酒などのアルコールは、昏睡やアルコール中毒などをおこす可能性があるため与えないでください。
お酒に含まれている「エタノール」を犬が分解できないため、飲んでしまうと危険な状態になってしまいます。
アルコールが含まれているウエットティッシュや除菌スプレーなどの取扱いにも注意しましょう。
犬のいたずらができない場所に保管してください。
コショウなどの香辛料や生卵の白身、ガムなどに含まれているキシリトール、アボカド、人間用のお菓子などの食材も、中毒症状や消化器症状などがあらわれる可能性があります。
また、イチジクやスモモ、ぎんなん、果実の種や皮、野菜の種や芯、茎なども危険です。
病気の治療で服薬中の犬は、グレープフルーツなどにも注意しましょう。
生卵の白身は、犬が食べてはいけないものですが、加熱すれば与えることが可能です。
しかし、卵はカロリーが高いため与えすぎには注意しましょう。
食べ物以外にも犬が食べてはいけないものがあります。
犬がいたずらしないように、犬の届かない場所に保管しましょう。
爪楊枝やアイスの棒などの先が尖ったものやヒモなどの糸状のもの、ネジ、釘、保冷剤、こどもや犬のおもちゃなど小さなものにも注意が必要です。
好奇心で口にくわえて飲み込んでしまう可能性があります。
犬の口に入りそうなものは、すぐに片づけていたずらされないようにしてください。
保冷材に使われている「エチレングリコール」は犬にとって危険です。
夏の熱中症対策で使用する際は、犬にいたずらされないように注意しましょう。
犬に保冷剤を使用したい場合は、犬用の安全なものを選び、冷房も活用してください。
また、口に入らない大きさのものでも、噛んで飲み込む可能性があります。
小さくなくても嚙み切れるものは注意しましょう。
観葉植物や生花などは、犬が食べてしまうと中毒症状がおこる可能性があります。
ユリ、チューリップ、ヒガンバナ、スイセン、ツツジ、アジサイ、スズラン、アロエ、オシロイバナ、クリスマスローズなどは代表的ですが、他にもさまざまあり危険な植物は多岐にわたります。
趣味で植物を育てている場合は、犬が食べられないような場所に置きましょう。
散歩の際も犬が食べないように気をつけてください。
人間用の薬や化学製品も犬にとっては有害です。
床に落ちたらすぐに拾い、犬が誤飲しないように気を付けましょう。
薬が入っていた袋や包装シートなども、置きっぱなしにせず、犬が届かない場所にしまいましょう。
農薬や殺虫剤も嘔吐や神経症状などがあらわれる可能性があります。
重症化する場合もあるため、薬や化学製飲品の管理はしっかりおこないましょう。
犬が食べてはいけないものを食べないように対策することが大切です。
食べてしまったらすぐに動物病院へ連絡し、受診しましょう。
犬が食べてはいけないものを食べないよう、しっかり対策をしましょう。
犬が届かない場所に置く、床に落ちたらすぐに拾う、おねだりをしても与えない、加熱処理して中毒症状をおこさせないなど徹底してください。
ごみ箱に捨てても、犬が興味を持ってごみ箱を漁る可能性もあります。
ごみ箱は、犬が入らない場所に設置するなど対策しましょう。
飼い主が気を付けることで、犬が危険なものを食べないように防げます。
犬が危険なものを食べてしまったらすぐにかかりつけの動物病院へ連絡した上で受診しましょう。
「何を食べたのか」「どのくらいの量」「いつ食べたのか」を伝えると、獣医さんが診察する際に役に立ちます。
また、食べてしまったものの残りや袋、同じものがあれば持っていくといいでしょう。
食べたものを吐き出させようと、自己判断で吐かせてしまうことは大変危険です。
自己判断で吐かせようとしないで、必ず動物病院に連絡、受診してください。
かかりつけの動物病院が開いていない、夜間に食べてしまった、元気そうにしているなどの理由で様子を見ようとする飼い主さんがたまにいます。
しかし、わかった時点ですぐに開いている動物病院へ連絡し、受診すべきか相談するようにしてください。