サモエドってどんな犬?性格から飼育のポイントまで解説

サモエドってどんな犬?性格から飼育のポイントまで解説
記事監修

さかもと はるか

ペットライター、愛玩動物飼養管理士2級、JKC公認トリマーライセンスC級

トリミングの専門学校を卒業後、盲導犬協会の訓練士として従事。子犬から盲導犬候補生まで多くの犬の訓練に携わる。その後、専門学校や盲導犬協会で学んだ知識を活かして、ペットライターとして活動。現在、犬と猫、デグーとともに暮らす。

「サモエドスマイル」と呼ばれる、にっこり笑っているような愛らしい表情に真っ白でふわふわの被毛。天使のような見た目に、心を奪われたことがある方は多いのではないでしょうか。

サモエドは、その美しい姿だけでなく、穏やかで愛情深い性格も大きな魅力です。しかし、頑固な一面がある点や日々のお手入れの大変さなど、飼う前に知っておくべき側面もたくさんあります。

この記事では、サモエドを「家族」として迎えることを検討している方へ向けて、性格や特徴といった基本情報から、日々のお世話のポイント、生涯にかかる費用まで解説します。

サモエドの性格と特徴

雪山を背景にしたサモエドの写真

まずは、サモエドの性格や大きさなどの基本情報を見ていきましょう。

性格

サモエドは、穏やかで友好的な性格が多いとされています。飼い主や家族に対して深い愛情を持ち、常に一緒にいることを好みます。

小さな子どもやほかのペットにも優しく接することができ、家庭犬として飼いやすい犬種といえるでしょう。

一方で、賢く自立心が強いため、頑固な一面を見せる場合もあります。甘えん坊で寂しがり屋なワンちゃんも多く、長時間の留守番はストレスになる可能性があります。

大きさ

サモエドは成犬になると体高約50〜60cm、体重約17〜30kgになる大型犬です。

子犬の頃は小さなぬいぐるみのような愛くるしい姿をしていますが、成長するにつれてがっしりとした骨格と筋肉質な体つきになります。

愛らしい子犬期のイメージだけで飼育を決めず、成犬になったときの大きさを想定して、十分な飼育スペースや運動量を確保できるかを検討することが大切です。

被毛の特徴

サモエドの最大の特徴である豊かで美しい被毛は、寒さから身を守るための「ダブルコート」です。

この被毛は、皮膚を保護するオーバーコート(上毛)と、保温性に優れたアンダーコート(下毛)の二層構造になっています。

寒さには非常に強い一方、熱がこもりやすく日本の高温多湿な夏は非常に苦手です。

また、春と秋の換毛期には抜け毛が非常に多くなるため、毎日のブラッシングが欠かせません。

毛色は、真っ白な「ピュアホワイト」、やや黄色味がある「クリーム」、そしてホワイトの地色に薄い茶色の差し色が入った「ビスケット」の3種類あります。

歴史と起源

サモエドは、ロシア北部のシベリアで暮らしていた遊牧民「サモエド族」と共に生活していた犬が起源とされています。

そりを引くだけでなく、トナカイの群れを守る、狩りを手伝うなど、人々の生活に欠かせない大切なパートナーとして活躍してきました。

夜にはテントの中で一緒に眠り、人々を暖める「湯たんぽ」の役割も担っていたと言われています。

古くから人間と密接に暮らしてきた歴史が、現代のサモエドの温和で人懐っこい性格の基礎となっていると考えられます。

サモエドの飼育ポイント

舌を出してうつむいているサモエドの写真

サモエドと家族として暮らすためには、犬種の特性に合わせた飼育方法を理解することが大切です。

ここでは、サモエドを飼育する上で大切なポイントを4つ紹介します。

運動量を確保する

元そり犬であるサモエドは非常に体力があり、多くの運動量を必要とします。運動不足はストレスの原因となり、無駄吠えや家具の破壊といった問題行動につながる可能性も少なくありません。

毎日の散歩は朝晩の2回、それぞれ1時間程度を目安に、しっかり時間を確保するのが理想です。

ただ歩くだけでなく、早歩きを取り入れたり、休日にドッグランで思い切り走らせたりなど、運動の質にもこだわりましょう。

ほめるしつけを意識する

サモエドは非常に賢く、飼い主の気持ちを理解しようとしますが、同時に自立心が強く頑固な一面も持ち合わせています。

この自立心の強さから、自分で状況を判断し、納得できない指示にはすぐに従わない場合があり、「頭が悪い」と誤解されることもあります

実際は、自分で判断できる賢さがあるからこそ、力ずくで従わせようとする厳しいしつけは反発心を抱きやすく、逆効果になるケースがあります。

サモエドのしつけには、おやつや褒め言葉を効果的に使う「ほめるしつけ」が適しています。

良いことをしたらすぐに褒めるを繰り返し、飼い主といると楽しいことがあると学習させるとしつけが成功しやすくなるでしょう。

暑さ対策をする

シベリア出身のサモエドにとって、日本の高温多湿な夏は過酷です。熱がこもりやすいダブルコートの被毛を持つため、熱中症のリスクが高くなります。

そのため、夏場の飼育環境では暑さ対策が不可欠です。

室内ではエアコンを24時間稼働させ、室温を23〜25℃程度に保つようにしましょう

散歩はアスファルトが熱い時間帯を避け、日没後や早朝の涼しい時間帯を選んでください。愛犬が常に快適に過ごせる環境を整えましょう。

定期的に被毛のお手入れをする

サモエドの美しい純白の被毛を保つには、こまめなお手入れが欠かせません。ブラッシングは毎日行うのが理想です。

特に換毛期にはアンダーコートがごっそりと抜けるため、スリッカーブラシなどを使って丁寧に根元から取り除きましょう。

シャンプーは月に1回程度が目安ですが、カットの必要はありません。ただし、毛量が多く家庭で完全に乾かすのは大変なため、定期的にトリミングサロンでプロにお願いするのもおすすめです。

子犬期からの育て方と注意点

床に伏せをしてこちらを見上げているサモエドの写真

生後1年間の過ごし方は、愛犬の性格や飼い主さんとの関係性を形成する土台となります。とくに、大きな体に成長するサモエドだからこそ、子犬期の過ごし方には注意が必要です。

ここでは、子犬期に押さえておきたい「社会化」と「食事管理」、「飼育環境」の3つのポイントについて解説します。

子犬期のケア(社会化・トレーニング)

サモエドの子犬期で重要なのが「社会化」です。小さい頃からさまざまな人や犬、物、音に慣れさせると、将来恐怖心や警戒心が強くなることを予防できます。

無理強いはせず、子犬のペースで多くの良い経験をさせてあげましょう。

また、社会化以外のトレーニングも大切です。トイレトレーニングやハウストレーニングは、愛犬を迎えたその日から始めましょう。

ほめて伸ばすしつけを基本として、「おすわり」や「まて」などのコマンドを遊びながら楽しく教えていくと信頼関係を築けます。

食事と栄養管理

大型犬であるサモエドは、生後2ヵ月頃で約5kgだった体重が、1年ほどで成犬の約30kgまで急成長します。そのため、子犬期の栄養管理は将来の健康を大きく左右します

急激な成長は関節に負担をかけるため、必ず「大型犬の子犬用」に栄養バランスが調整された、高品質なドッグフードを選びましょう。

食事は、消化器への負担を減らし、胃捻転のリスクを低減するためにも、1日3〜4回に分けて与えます。

パッケージに記載された給与量を守り、肥満にならないよう体型をチェックしながら調整しましょう。

適した飼育環境

サモエドの子犬を迎える際には、安全で快適な環境を整えることも不可欠です。

まず、電気コードや誤飲の危険がある小さなおもちゃ、観葉植物などを片付け、子犬が安全に過ごせるスペースを確保しましょう。

また、シベリア出身のサモエドにとって、温度管理も重要です。夏場はもちろん、季節を問わず快適に過ごせるよう、エアコンで室温を一定に保ちましょう。

滑りやすいフローリングは関節に負担をかけるため、カーペットやマットを敷くなどの滑り止め対策をすると、ケガの予防につながります。

サモエドの価格と入手方法

お座りをしているサモエドの写真

サモエドを実際に迎えるとなると、どこで出会えるのか、費用はどれくらいかかるのか、といった疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。

ここでは、サモエドの値段相場や主な入手方法について解説します。

値段相場

サモエドの子犬の価格は、約30万〜70万円が相場です。両親がドッグショーで優秀な成績を収めているなど、優れた血統を持つ場合は価格がさらに高くなる傾向があります。

ただし、実際に迎える際には、これに加えてワクチン接種費用やマイクロチップ登録料、ペット保険料などの諸経費が別途必要になる可能性があります。

入手方法

サモエドを迎えるための主な方法は、以下の3つです。

  • ペットショップ
  • ブリーダー
  • 保護犬の里親

最も一般的なのは、サモエドを専門に繁殖しているブリーダーから直接譲ってもらう方法です。親犬の性格や飼育環境を確認できるため、安心して子犬を迎えられます。

ペットショップで出会える機会もありますが、サモエドは比較的珍しい犬種のため、その数は多くありません。

また、さまざまな事情で飼い主を探している保護犬の里親になるという選択肢もあります。

「サモエドの子犬を見てはいけない」と言われる理由とは?

ネット上では、「サモエドの子犬を見てはいけない」と言われることがあります。これは、「飼うのが危険だから見てはいけない」といったネガティブな意味ではありません。

実際は、「一度見てしまったら、ぬいぐるみのような可愛らしさの子犬を衝動的に連れて帰りたくなってしまうから」という理由です。

サモエドを迎える際には、可愛さだけで決断するのではなく、成犬になった時の大きさや運動量、手入れの大変さなどを理解し、冷静に判断することが大切です。

サモエドの平均寿命と注意したい病気・健康管理

並んで伏せをして眠そうな2匹のサモエドの写真

ここからは、サモエドの平均寿命から、注意すべき病気やケガ、日頃からできる予防のポイント、シニア期に必要となるケアについて見ていきましょう。

平均寿命

サモエドの平均寿命は12歳〜14歳程度とされており、大型犬の中では平均的です。

犬の寿命は、個体差や飼育環境に大きく左右されます。

栄養バランスの取れた食事や適切な運動、ストレスの少ない生活環境などを提供すると、平均寿命以上に長生きしてくれる可能性もあります。

また、年に一度は健康診断を受け、病気の早期発見・早期治療に努めると、愛犬の「健康寿命」を延ばすことにもつながります。

注意すべき病気・ケガ

サモエドとの暮らしで特に注意したい病気やケガは、以下のとおりです。

  • 股関節形成不全
  • 胃捻転
  • 皮膚炎

これらの病気の中には、日々の生活環境を整えるとリスクを軽減できるものもあります。

特に股関節形成不全は、滑りやすい床での生活や、段差の多い環境が関節に負担をかけ、発症の原因となることがあります。

室内に滑り止めマットを敷いたり、段差をなくしたりする対策は、愛犬の足腰を守るのに効果的です。

ペット共生型マンション『Dear WAN Court(ディアワンコート)』は、室内はもちろん、共用廊下にまで滑りにくく柔らかな床材が採用されています。

愛犬が元気に走りまわっても滑りにくくなっており、関節への負担を軽減できます。

サモエドと安全かつ快適に暮らすのにはぴったりな物件です。ディアワンコートについて詳しく知りたい方は、以下のページもぜひご覧ください。

予防とケアのポイント

病気を未然に防ぎ、サモエドの健康を守るためには、日々の予防とケアが欠かせません。

まず重要なのが「体重管理」です。肥満は関節や心臓に大きな負担をかけるため、適切な食事量と運動を心がけ、理想的な体型を維持しましょう。

次に、「食事管理」も大切です。食事は1日に2〜3回に分け、食後すぐの激しい運動は避けるようにしてください。

合わせて、歯周病予防のための「デンタルケア」も毎日の習慣にすると良いでしょう。

シニア期のケア

サモエドは、5〜7歳頃からシニア期(高齢期)に入ります。人間と同じように、年を重ねるにつれて体力や免疫力が低下し、さまざまな体の変化が現れます。

食事は消化しやすく、シニア犬の健康維持に配慮されたフードに切り替えましょう。

また、運動は、愛犬の様子を見ながら散歩の距離を短くするなど、体に負担のかからない範囲で行うことが大切です。

健康診断も半年に一度に増やすと、加齢に伴う病気の早期発見ができ、健康寿命を伸ばすことにつながります。

サモエドと暮らすための費用目安

2つの肉球マークの間に¥マークが配置されている写真

サモエドを家族として迎える決心をしたら、考えておきたいのが飼育費用についてです。愛犬と暮らすには、日々の食事や健康管理、しつけなど、愛情だけでなく継続的な費用がかかります。

ここでは、サモエドと一年間暮らすためにどれくらいの費用がかかるのか紹介します。

年間費用の一例

サモエドと暮らす際にかかる年間費用目安は以下のとおりです。

項目費用目安(年額)備考
食費6万〜14万4,000円フード・おやつ代
ケア用品1万2,000〜3万6,000円ブラシ・シャンプー・イヤークリーナーなど
トイレ用品2万4,000〜4万8,000円トイレシート・消臭スプレーなど
医療費1万〜6万円予防接種・健康診断など
合計10万6,000〜28万8,000円

サモエドは大型犬に分類されるため、フードの消費量も多く、食費や医療費なども小型犬に比べて高くなる傾向があります。

これらの費用は使用するフードのグレードやライフスタイル、住んでいる地域によっても変動します。

また、この表の金額に加えて、子犬を迎える際の生体価格やケージ・食器などの初期費用や、予期せぬ病気・ケガによる突発的な医療費も別途必要になる可能性があります。

サモエドとの生活を始める前に、経済的な計画をしっかりと立てておきましょう。

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